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やまぼうし
ヨーロッパの田園地帯を旅すると、数百年も前の家が代々の人に守られ修復されながら、現代を見事に生き抜いている姿に出逢えます。
若い時代に旅の中で見た、そんな風景が忘れられず、家庭を持ってから古い家、廃屋を探し求める旅を始めた私です。富山、福井、石川、岐阜、鳥取、島根の山間部や田園地帯を歩き回り200軒を超える家と出逢いました。チェーンソーがうなりをあげて太い梁を切り裂こうとする寸前にぶつかったことも。
そんな旅の中で出逢った多くの家の中から12軒の家を求め、解体し、箱根に運び梁を組むことができる職人さん共に一部屋一部屋仕上げていきました。
人々の営みが感じられる日本の民家
12軒の家は全て農家でした。
もちろん大農家もありましたが、ほとんどが中農家でした。
後継者がいなく、シンと静まりかえり永い眠りに入ったかのような家が、
ここで甦ることに私は嬉しくてたまりませんでした。
お預かりするという気持ちで
村の人々が一丸となって建てた家の柱には、
村人の名が刻まれているものもありました。
太い梁の下にいると心が安らぎます。
柱に身を寄せていると木の呼吸が聞こえるようです。
梁だけではなく、板戸、床板、あがり框・・
全てにいくつもの家々の名残が生きています。
次世代に木の温もりを伝える
土と生き、風に身をさらし、大気にふるえ、
水を抱き、太陽のぬくもりをたっぷりと
含んだ木の家。
それが「やまぼうし」です。
100年から150年は生きた木の家の力強さ、
温もりをどうぞお愉しみください。